お墓を持たない供養の仕方、「散骨」についてわかりやすく解説

大切な人が亡くなったとき、「故人の遺骨はお墓に埋葬して供養したい」と思われる方がまだまだ多いと思います。
そんな中、最近ではお墓は持たずに自然の中に「散骨」して、故人を供養したいと考える人も少しずつ増えてきています。
海外では一般的に行われている散骨ですが、お墓への埋葬がほとんどを占めている日本では、散骨についてあまり広く知られていません。        
散骨にはいくつか種類があり、お墓への埋葬とはまた違った形で大切な故人を見送ることができます。

散骨とは?

「散骨」とは、火葬後の遺骨をさらに細かく砕き、海や山などにまいて故人を見送る供養の仕方です。
散骨の方法には海洋葬、山間葬の他にバルーン葬や宇宙葬といった一風変わったものもあります。

海洋散骨
船をチャーターして海上で遺骨をまく方法です。散骨というと海の上というイメージがあるくらい一般的な散骨方法です。
船上で故人の好きだった音楽をかけてみたり、お花と一緒に散骨したりセレモニー的な演出を行うこともあります。

山間葬
散骨場のある山で遺骨を散骨する方法です。自然豊かな山の中に遺骨をまくので、山が好きだった方や、登山が好きだった故人にはとっておきの供養になります。

バルーン葬
バルーンに遺骨を入れて空に飛ばします。遺骨は高度40kmから~50kmまで上昇し、成層圏の辺りで散骨されます。

宇宙葬
カプセルに遺骨を入れてロケットで飛ばす方法です。ロケットはバルーンよりもさらに高く飛ぶので、高度100km以上の大気圏(宇宙空間)まで遺骨を運んで行きます。

散骨を選択する理由とは?
散骨を選ぶ人の中には、故人が海や山が大好きだったからなど、やはり自然が好きという理由が多いです。

それ以外にも、お墓の管理を任せられる人がいなかったり、子供や孫に負担をかけたくないという理由で散骨を考える人もいます。

また、散骨はお墓を持つのに比べて費用をぐっとおさえることができます。
お墓を新しく購入するには100万円~200万円ほどかかってしまうことがほとんどなので、費用の面でも散骨を検討する価値は十分にあります。

お墓の管理はどうしても残された家族に任されることになります。
日本ではお墓は長男が継ぐというのが長年の慣習として現在でも残っており、そのため、責任感だけでなく親族のプレッシャーからお墓のある土地に縛られている人も少なくないのです。

散骨は故人の思いをかなえるだけのものではなく、残された家族にとってもその土地に縛られることなくもっと自由に生きるための新しい供養の仕方と言えるでしょう。

個人で行う散骨と業者さんにお願いする場合のメリット・デメリット
散骨を個人で行う場合と業者さんの提供するプランを利用して行う場合、それぞれにメリットとデメリットがあります。

まず散骨の専門業者さんにお願いする場合、遺骨を細く砕く作業から当日の散骨場所や散骨の方法など、事前にきちんと相談しながら行うことができますし、当日もきめ細かなケアでスムーズに散骨を行うことができます。

これらの作業を個人で行うとなると、手間も時間もかかることになります。

特に、遺骨を2mm以上に砕く作業は個人では難しいので、ここだけは業者にお願いすることになります。
故人が好きだった場所に行って、ゆっくり時間を気にせず散骨をしたいという方は業者に粉骨作業だけお願いするという方法もあるようです。

散骨の費用は?
散骨は自分で行うこともできますが、遺骨を砕く作業や、遺骨をまいても問題ない場所を探すなど、個人で行うには大変な作業も多々あります。

一般的には、散骨の専門業者が提供しているプランを利用して散骨を行うことになります。
専門業者のプランを利用して散骨を行う場合、以下の金額が目安となります。

家族1組だけで、散骨を行う個人散骨の場合は15~35万円
複数の家族と一緒で行う合同散骨は約15万円
専門業者に散骨を任せる代行散骨の場合は約5万円

この費用に加え、遺骨を海や山にまけるように細かく砕くための粉骨費用が別途2万円〜3万円ほどかかります。

少量の遺骨を残しておき、手元供養にも
遺骨を自然に還す散骨は、故人を悼む意味でもすばらしい供養の方法ではありますが、お墓がないと故人に会いに行ける場所がないということになってしまうので、少しさびしい気持ちが残ってしまうかもしれません。

そんな時は、散骨をする際に遺骨を全部まかずに、事前に少量の遺骨を手元に残しておきましょう。

遺骨を小さい骨壺などに入れて、自宅の手元供養用に持ち帰ります。

少量の遺骨をペンダントに入れて、肌見離さず持ち歩いてもいいですね。

ペンダントはデザインも豊富で素材も自分の好みのものを選ぶことができるという業者もたくさんあります。

散骨を考えている人は、ルールやマナーを守って行うこと
現在の日本の法律では散骨に関する記述はありません。

ですが、遺骨をそのまま散骨してしまうと墓地、埋葬などに関する法律や死体遺棄(刑法190条)などの罪に触れてしまう可能性があります。

散骨を行うためには、まず遺骨をパウダー状(2mm以下)に細かく砕く必要があります。

さらに、散骨する場所もよその私有地や公共の施設、観光地は避けなければなりません。
海の上であっても、漁業組合によって散骨を制限しているところもあるので、漁業場や養殖場の近くでの散骨は避けた方が良さそうです。

散骨を行うのに、特に必要な手続きや届出はありませんが、自治体によっては条例で散骨を規制している場所もありますので、個人で散骨を行うのはなかなか大変なことも多いようです。

そのため、専門業者さんの用意したプランを利用して散骨するのが、一番安心で確実に散骨を行えると言えるでしょう。

散骨をお考えの場合は、まずは専門業者に相談をしてみるのがよいと思います。

可能であるならば、電話で相談して対応の良し悪しをチェックしたり、パンフレット請求をしてサービスを比較してみることをおすすめします。

まとめ
人も自然の一部ですから、海や山に散骨して故人を自然に還すというのは生き物として理にかなっていると言えるでしょう。

ですが、散骨は一度まいてしまえば遺骨をとり戻すことは二度とできませんので、本当に散骨という方法を選ぶのか慎重に決める必要があります。

お墓に埋葬する方法も散骨という方法も、それぞれ故人を供養する選択肢のひとつです。

家族のあり方が日々変化を続けていく中で、お墓だけは変わらずに先祖代々同じ土地で守っていくのは、難しくなってきているのも事実です。

伝統や形式も大事、でもそのために生きている人が負担を感じてしまうようでいけませんよね。

いろいろな家族の形があるように、供養の仕方も家族でよく話し合って納得の上で決めたいですね。