散骨供養の正しい方法は?ルールやマナー・法律まで徹底解説

故人のご遺灰を海や山へ撒き、自然の輪廻へと返す散骨供養は、お墓を持たないという選択肢の中でもより多くの人に注目されているご供養方法です。では、その散骨供養を行う上で知っておくべきマナーや注意点とは、一体どのようなものなのでしょうか。散骨供養のルールやマナー・法律に関する知識まで詳しく解説していきます。

1 散骨に関する法律上の規制と注意点

まず最初に、散骨供養に関係する法律上の規制や注意点について確認していきましょう。

違法でも合法でもない散骨供養

散骨供養は、2019年の段階では法律上に規制はなく、グレーゾーンとなっています。その根拠として挙げられているのは、以下のような項目です。

  • 法務省が非公式ながらも「葬送を目的とし節度を持った範囲内であれば死体遺棄罪にはな
    らない」という見解を述べている。
  • 厚生省が非公式ながらも「散骨供養は墓地埋葬法には抵触しない」という見解を述べてい
    る。
  • 国が法律で散骨供養を違法としてしまうことは、宗教観の規制となる可能性が高くなるた
    め、法律の改正や整備が難しい。
  • つまり、「はっきり違法と判断できる法律はなく、しかし法律を改正して規制をすることも大変難しいため、散骨供養は行う人の常識や周囲への配慮に任されている状態」なのです。

    散骨供養の規制は各地方自治体に任されている

    法律的にはグレーゾーンとなっている散骨供養ですが、では一切の規制がないかというとそうではありません。散骨供養を行うためには、その宗教観を受け入れる自治体の存在が不可欠です。
    散骨供養を許可するかどうかは、2019年の段階では各地方自治体にその判断が委ねられており、散骨供養を条例で禁止・規制している地域では違法となることもあります。また、自治体が定める条例の他にも、散骨供養する地域の人への配慮は欠かすことができません。

    散骨供養は新しいご供養方法として注目される一方で、行きすぎた行為やマナーの悪さからトラブルとなったケースも存在します。下記でご紹介する「違法となるケース・ならないケース」を比較して、散骨に必要なマナーや配慮を心掛けるようにしましょう。

    散骨が違法となるケース

    ・粉骨しない状態のままで散骨した
    ・散骨が禁止されている自治体の管轄内で散骨した。
    ・自治体の規制がなくても他人の所有地内に散骨した(山林や畑など)

    散骨が違法とならないケース

    ・粉骨してご遺骨とは分からない状態にしている。
    ・自治体からの規制がない場所で散骨している。
    ・自治体の規制がない私有地内に散骨している。

    ご遺灰を自然の中へ「埋める」のは違法となる

    散骨供養を検討する時に次のような方法を考える人がいますが、以下のようなケースは違法となります。

    ・自治体の規制がない私有地に生えている木の根元にご遺灰を埋葬する。
    ・故人に所縁のある土地にご遺灰を埋葬する。
    ・ご遺灰であることがわからないように、山岳散骨で訪れた山の中にご遺灰を埋葬する。

    これらの行為に共通しているのは、「ご遺灰を地中に埋める」という部分です。もしご遺灰を地中に埋葬してしまった場合、「墓地埋葬法」に抵触してしまい違法と判断されます。
    墓地埋葬法とは、簡単に言うと「墓地として定められた場所にしかご遺骨を埋葬してはいけません」という法律です。ごくまれに「樹木葬」と「散骨供養」を同じように捉えてしまう人がいるのですが、樹木葬は最初からご遺骨やご遺灰を埋葬することを前提としているので、墓地として認定されている場所でしか行われません。

    散骨供養はあくまで「自然の中にご遺灰を捲く」ようにし、地中に埋葬しないようにしましょう。

    散骨供養を行う前には各地方自治体へ確認する

    散骨供養を行う時に一番重要となるのが、「散骨予定地のある地方自治体への確認」です。法律上ではグレーとなっていても、それに準ずる地方自治体の条例で禁止・規制がある場合、せっかくの散骨供養で罰せられたり、条例が厳しくなって散骨供養そのものができなくなる可能性もあります。
    散骨供養は近年になって注目されるようになった新しいご供養です。より多くの人に受け入れてもらえるよう、条例や地域への配慮を怠らないようにしましょう。

    散骨供養の具体的な方法について

    散骨供養を行うためには、その方法や事前準備をしっかりと決定・確認しなければなりません。散骨供養の具体的な方法と、それぞれに必要な準備についてみていきましょう。

    散骨供養は主に三つの方法に分けられる

    供養は、主に次の三つの方法に分かれています。

    粉骨から散骨までをすべて自分で行う方法

    ご遺骨をパウダー状にする・散骨場所を探す・自治体への連絡・移動など、散骨するまでに必要な行程や手続きをすべて自力で行う方法です。

    粉骨だけを業者に依頼する方法

    ご遺骨をパウダー状になるまで粉骨する作業は、大変時間と労力が掛かります。この行程だけを業者へ委託し、散骨場所探し・自治体への連絡・移動という行程を自力で行う方法です。

    散骨供養を業者に申し込んで行う方法

    散骨供養を行なっている業者へ申し込み、プランニングをすべてお任せして散骨供養を行う方法です。

    どの方法を選ぶかによって、自身への負担や掛かる費用などに違いが出てきます。まず最初にこの三つの方法についてよく調べ、どちらがより理想的な散骨供養となるのかを決めていきましょう。

    散骨供養にかかる費用の目安は?

    自分ですべての作業を行う場合

    散骨供養にかかる費用の目安は、以下のようになっています。
    すべての行程を自分で行う場合の目安は約3000円
    もし粉骨から散骨までをすべて自分でプランニングする場合、主に必要となるのは次のような費用です。

    ・ご遺骨をパウダー状にすり潰す道具の費用(すり鉢や電動ミルなど)
    ・水に溶ける素材の袋の費用
    ・散骨場所までの移動費用
    「どのように粉骨するか」「どこで散骨するか」によっても費用に違いが出てきますが、平均的な金額としては、およそ3000円程度となっています。

    粉骨だけを業者に委託する場合は約15000円〜

    粉骨の行程だけを業者に委託する場合、その平均的な金額はおよそ15000円となっています。ただし、ご遺骨の受け渡し方法などによっては若干の違いが出てきますので、事前によく確認するようにしましょう。

    すべて業者に委託する場合は約28000円から

    散骨供養に必要な行程をすべて業者へお願いする場合、一番お手頃な費用で28000円からとなっています。しかし、これはあくまで「業者へ依頼し散骨供養も業者で行なってもらう」ケースとなりますので、以下のような場合には費用がかかってきます。

    ・依頼するご遺骨が2体以上である。
    ・散骨供養に参加する。
    ・散骨供養に2以上の複数人で参加する。

    現在では多くの業者が相談窓口やメールでの質問等を受け付けていますので、費用に関して少しでも疑問がある場合には、業者のパンフレットや直接連絡するなどして情報を集め、よく比較検討するようにしましょう。

    2−2−4 散骨の方法によっては20万円以上かかることもある
    散骨供養の中で広く認識されているのは「海洋散骨によるご供養」ですが、実は散骨供養には次のような種類があります。

    ・クルーザーをチャーター
    ・海外での散骨に参加
    ・バルーンによる散骨
    ・宇宙葬によるロケットでの散骨

    これらはすべて「散骨供養の方法」であり、どのような散骨供養をするのかによって、その費用にも大きな差が出てきます。

    詳しい情報を知りたい場合には業者へ直接連絡をし、質問をしたりパンフレットを取り寄せて比較検討をしてみるのも良いでしょう。

    無理のない範囲で選択していくことが重要

    散骨でのご供養は、「行う側への負担」「ご遺族間の意思の疎通」「散骨方法選び」「費用の問題」など、さまざまな点を総合して検討していく必要があります。いざ散骨供養の準備を始めた後に、「思ったよりも負担が大きい」「思いもよらない費用がかかる」などの問題が出ることも少なくありません。

    「どこまでなら自分でできるのか」「どのくらいの費用なら用意できるのか」など、無理のない目安を持って検討していき、後悔のない散骨供養となるようにしましょう。

    散骨供養を行う時のルールやマナー

    散骨供養を行う上でのルールやマナーを知っておくことは、より良いご供養となるために欠かすことができません。散骨供養を行う時のルールやマナーとはどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。

    ご遺骨は必ず粉骨すること

    ご遺骨は必ず粉骨し、一見してもそれがご遺骨とわからないようにしなければなりません。具体的な大きさとしては2㎜以下、それでも気になるようであれば、さらに細かく粉砕しておくことが重要です。

    周囲への配慮やより自然へと還りやすくするという目的は勿論ですが、散骨供養した人が死体遺棄罪とならないためにも欠かすことができない作業となりますので、粉骨されがご遺灰の大きさには十分注意をするようにしましょう。

    ご遺灰の中の異物は必ず取り除くこと

    ご遺骨の状態によっては、中に次のような異物が入っていることがあります。

    ・棺についていた金具や釘
    ・故人の入れ歯や差し歯などの金属類
    ・故人の体内にあった医療用の金属類など

    こういった異物は自然への悪影響が大きく、分解もされないため自然回帰することができません。このような異物を取り除くことは、世界的な基準でも守られているルールです。はっきりと金属とわかるものは勿論ですが、小さく砕かれた状態であっても黒く焼け焦げているものは念のため取り除くようにしましょう。

    ご遺灰を散骨する時には周囲へ十分な配慮をすること

    ご遺灰を散骨する時には、次のような点に注意をしてご供養を行なうようにします。

    平服で行う(喪服は着ない)

    周囲の人から見た時に、喪服を着て散骨するとあらぬ疑いを掛けられたり、良い印象を持たれないことがあります。特にイメージを大切にする観光地はリゾート地では、思わぬトラブルになる可能性もありますので、散骨する時には平服で行うようにしましょう。

    ご遺灰が風などで周囲に飛び散らないようにする

    パウダー状の粉骨は風の影響を受けやすく、周囲へ飛び散って一般の人に迷惑となることもあります。散骨する時にはご遺灰をそのまま撒かず、水溶性の紙袋に小分けにしてから捲くようにしましょう。

    一つの箇所に目立つように散骨しない

    たとえ粉骨していたとしても、一つの箇所に目立つように散骨すると、周囲の人や地域から苦情を訴えられることがあります。場合によってはその地域での散骨が条例で禁止されることにもなりかねませんので、目立たないように分散して散骨するようにしましょう。

    公共の乗り物からは散骨しない

    バス・列車・フェリーなどの公共の乗り物からの散骨も、絶対にやってはいけない方法です。一緒に乗車・乗船している一般の方への迷惑になるほか、場所によっては条例で禁止されていることもありますので、必要であれば業者へ相談して法的に問題がない方法で散骨するようにしましょう。

    献花はビニールやリボンを外して花びらだけにする

    散骨とともに献花をする場合には、少しでも自然に還りやすくするために花びらだけにします。ビニールやリボンは自然界への悪影響が大きく、海洋生物が飲み込んでしまうと死亡する可能性があります。散骨を受け入れてくれる自然に対しての敬意を持ち、自然界に影響が出ない形での献花を行うようにしましょう。

    散骨供養が多くの人に受け入れられ、次の世代へと受け継がれていくためには、「法律・マナー・ルール」の三つをしっかりと守ることが重要です。周囲への配慮や環境保全を十分に認識して、より良いご供養となるようにしていきましょう。