散骨 墓じまい

お墓を建てる・守るのにかかる費用やリスクや問題を徹底解説

先日、「お墓(を建てるところ)を探しているんだけど、なかなかいいところがなくて」と、朝一番にごみステーションで近所のおばちゃんから相談を受けました。

お墓を建てるには、まず費用やお墓の種類(墓石のサイズや形など)と希望する場所を決めてから墓地(霊園)を探します。
人気のある墓地は高額であったり、抽選購入(高倍率)であったりします。
さらに、墓地によっては石材店を指定されている場合も多く、希望の価格で墓地を確保できたとしても結果的に思ったようなお墓を購入できなかったり、予算をオーバーしてしまう人も多いようです。

その反面、近年では「墓じまい」といって先祖代々のお墓をしまう(言い方が悪いですが「処分」してしまう)人も増えています。
なぜこのような状況になっているのでしょうか?

お墓の種類とメリット・デメリット

一口に「お墓」と言っても、さまざまな種類があり、それぞれに良いところもあればそうでないところもあります。

継承墓

「お墓」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、先祖代々で継承していく「継承墓」ではないでしょうか?
管理をしてくれる子孫がいる限り続いていくお墓です。

メリットデメリット
・すでにある継承墓に入る場合は費用が安い
・先祖代々の由緒あるお墓を守ることができる
・(継承してくれる子孫がいる間は)身内しかいない空間で永遠に眠ることができる
・新たに建立する場合は高額
・無縁仏になる可能性がある
・管理が大変

永代供養墓

寺院や霊園が管理・供養をしてくれるというもので、基本的には契約期間(33年が一般的)が過ぎてしまえば、合祀墓に祀られます。

個人墓、夫婦墓(二人墓)

個人墓、夫婦墓(二人墓)は、継承墓と同じように墓石があるお墓です。
契約期間後は、墓石は撤去され合祀墓に祀られます。

メリットデメリット
・一定期間自分(自分たち)だけのお墓を持つことができる
・管理の必要がない
・新たに墓を建立するので高額
・契約期間後は合祀墓に移される
納骨堂

納骨堂は、ロッカー型や仏壇型などさまざまな形式がある屋内の遺骨保管施設です。

メリットデメリット
・墓石を建立するよりは安い
・管理の必要がない
・契約期間後は合祀墓に移される
樹木葬

樹木葬は、墓石の代わりに木(シンボルツリー)を植えるものです。

  • 完全個別タイプ(個人墓の墓石の代わりが木)
  • 半個別タイプ(個人のスペースはあるがシンボルツリーが1本)
  • 合祀墓タイプ(公園のような敷地にシンボルツリーが1本)

などがあります。

メリットデメリット
・墓石を建立するよりは安い(合祀墓タイプならさらに安い)
・管理の必要がない
・自然に還ることができる
・契約期間後は合祀墓に移される
注意点

樹木葬は霊園・墓地でのみ可能です。
法律により、「墓地等の決められた場所にしか遺骨を埋めてはいけない」となっているので、故人が大好きだった庭の木の下に埋めるというのは違法となります。

合祀墓(ごうしぼ)

合祀墓(ごうしぼ)とは、合同で祀られる墓地が管理する共同墓のことです。
通常は骨壷から出して埋葬されるため、あとから遺骨を取り出すことはできません。

メリットデメリット
・安い
・管理の必要がない
・たくさんの人と一緒に眠ることができる
・知らない人のお骨と混ざる

墓地(霊園)の種類とメリットデメリット

墓地・霊園には大きく分けて、

  1. 公営墓地・霊園
  2. 民間墓地・霊園
  3. 寺院墓地

3つの種類があります。

メリットデメリット
公営霊園・地方自治体が管理しているから安心
・宗派を問わない
・石材店指定がない
・安い
・人気
・倍率が高い
・その地方自治体に住んでいる・継承者がいるなど条件がある
民間霊園・宗派を問わない場合が多い
・民間なのでキレイで豪華なところもある(そのため料金に幅がある)
・墓石店指定である場合が多い
寺院墓地・慣れ親しんだお寺にお任せできる・檀家でないといけない
・墓石店指定である場合が多い

お墓の購入にかかる費用

お墓の購入にかかわる費用は、墓地の場所や管理システム、墓石の種類などによって金額に幅がありますが、墓石業者の全国組織「全優石」の「2017年版お墓購入者アンケート調査」や、「第9回お墓の消費者全国実態調査」などを参考に平均額を出しました。

一般的なお墓の平均額:220万円

お墓の建立には、

  1. 墓石購入(彫刻代・設置代を含む)
  2. 永代使用料(墓地使用料)
  3. 管理費

が必要です。

1.墓石の購入費用(約160万円)
  • 北海道:133.9万円
  • 東北:155.0万円
  • 関東:170.8万円
  • 北陸:154.1万円
  • 中部:160.3万円
  • 近畿:167.6万円
  • 中国:151.0万円
  • 四国:189.7万円
  • 九州:222.1万円

墓石は、安いものですと50万円から、高いものですと500万円を超えるものもあります。
素材やデザインで金額はピンキリです。
個性を重んじる時代のせいか、高額なデザイン性の高い墓石の受注も多いようですが、逆にシンプルなデザインの比較的安価なものも好まれているようです。

2.永代使用料(約60万円)

永代使用料とは、いわゆる土地代です。
墓地のその区画を永代使用できる権利であって、購入とは異なるため、消費税・贈与税がかかりません。
一度永代使用料を支払うと、墓じまいをしてその区画を返還しても使用料は戻ってきません。
また、永代使用権を転貸したり転売することもできません。

永代使用料は、全国的に有名な東京の青山墓地では約500万円かかりますが、都心から離れると30万円~60万円程度となっています。
交通の便だけでなく、区画の大きさ・位置、設備などでも料金が大きく異なります。

3.管理費(毎年:1万円前後)

管理費は、墓地(霊園)によって異なりますが、年間1万円前後かかります。

個人墓・夫婦墓(永代供養墓)の平均額:140万円

永代供養墓に単独墓(個人墓)や夫婦墓(2人墓)を建てるには、

  1. 墓石購入
  2. 永代供養料
  3. 管理費

が必要です。

1.墓石の購入費用(約80万円)

墓石については継承墓と同じですが、1~2人用のため通常は区画が小さいことが多く、墓石も小さめのものを購入することとなります。

2.永代供養料(約60万円)

永代使用料ではなく永代供養料です。

3.管理費(毎年:1万円前後)

管理費は、墓地(霊園)によって異なりますが、年間1万円前後かかります。

納骨堂(永代供養墓)の平均額:85万円

納骨堂は、タイプにもよりますが、

  1. 永代供養料
  2. 管理費

がかかります。
管理がしっかりしている施設の場合は、個人用で50万円ほど、家族用で100万円ほどかかるようです。
さらに、機械化された自動搬送式の施設であれば約1.5倍金額が上がりますし、人気のお寺だと5倍以上するところもあるようです。

樹木葬(永代供養墓)の平均額:75万円

樹木葬の場合、

  1. 永代供養料
  2. 管理費

がかかります。
一般的な合祀墓タイプだと15万円~あるようですが、永代供養墓で、シンボルツリーの周りに個別にスペースを設ける(骨壷ごと埋葬できる)ものだと50万円前後、完全な個別の場合は80万円前後かかるようです。

合祀墓(ごうしぼ)の平均額:15万円

合祀墓の場合、永代供養料(埋葬料などを含む)として10万円~20万円かかるようです。

お墓を持った後にかかる費用

お墓を持った後も、墓地によりますが、管理費が毎年1万円前後かかります。
しかし、それだけではありません。

夫婦で新しい永代供養のお墓を生前契約した場合でも、お互いの両親の継承墓が残っている場合は「墓じまい」をしないといけません。
墓じまいといっても、墓石を処分するだけでなく、残された遺骨の祀り方を考えないといけません。
また、田舎にある継承墓を新しい土地に移して引き継ぐ場合は「改葬(お墓の引越)」が必要です。

これが、どちらも時間と手間がかかります。

墓じまい・改葬(お墓の引越)の流れ

1.墓地の管理者への届出

既存の墓地が永代供養も行っている場合はそちらに移すよう指示される場合もあります。
そうでない場合は、遺骨の移し先を証明する「改葬許可証」「受入証明」「埋葬証明」などが必要です。

1.墓地の管理者への届出

既存の墓地が永代供養も行っている場合はそちらに移すよう指示される場合もあります。
そうでない場合は、遺骨の移し先を証明する「改葬許可証」「受入証明」「埋葬証明」などが必要です。

2.閉眼供養

僧侶に拝んでもらい(お布施1~5万円)、墓石を動かし遺骨を取り出します。

3.離檀

寺院墓地であった場合や、檀家であった場合は離檀料(お布施3万円~)を支払います。

4.墓石の撤去・解体

墓石を撤去し、更地に戻します。
解体費用、墓石処分費用(墓石を新しい墓地へ運ぶ場合は運搬費用)、整地代など多くの費用がかかります。
墓石の撤去は石材店が行っていますが、墓地の形状(重機が入れない等)によって料金が異なるため15万円~50万円以上かかることもあるようです。

ここまでで、時間と費用がかなりかかっています。
早くて2~3ヶ月、費用は50万円~100万円かかることが多いようです。
さらに、このあと遺骨を新しい墓地に移さないといけません。
つまり、改葬の場合は墓石の磨き直し(10万円前後)もかかりますし、新しく墓石を購入しない場合でも170万円以上かかる可能性があるのです。

夫の継承墓、妻の継承墓と2つ墓じまいすることとなった場合、この倍の金額がかかることになります。

お墓は必要?法律ではどうなっているの?

「そもそもお墓は必要なのでしょうか?」
お墓とは、遺体(遺骨)を収めて故人を弔う墓標(ぼひょう)です。
法律的に「お墓を建立する義務」はありません。

日本の法律で決まっているのは、

・火葬場でしか死体を焼いてはいけない
・墓地にしか骨(死体)を埋めてはいけない

ということです。
※墓埋法第4条より
つまり、火葬後の遺骨を埋めるのであれば墓地に埋めないといけませんが、墓石が必要なわけではありませんし、「埋めない」という選択肢もあるということなのです。

火葬と土葬

日本で行えるのは火葬と埋葬(土葬)です。
火葬とは、死体を葬るために焼くことで、土葬とはそのまま焼かないで埋葬(埋める)ことです。
土葬は宗教的な理由や、その土地の風習などで行われることがありますが、土葬が可能な墓地は限られています。

お墓を持たない選択(メリット・デメリット)

無宗教の方や、自然派の方、大変な思いをして墓じまいをした方の中には、「お墓を持たない選択」をする方が増えてきています。

自宅供養

遺骨を自宅に保管しておくことも可能です。
しかし、遺骨はカビなどがくることもあり、管理が難しいと言われています。
そのため、粉骨して保管している人も多いようです。
粉骨は業者にお願いした場合1万円~、さらに乾燥させる場合はプラス3万円程度かかります。

メリットデメリット
・いつでも故人の近くにいることができる
・費用がかからない
・家族や訪れる人が嫌がる可能性がある
・残された人が遺骨の処理に困る

手元供養

継承墓や樹木葬を選んだ方でも、遺骨を少しだけとっておき、粉骨したものを専用のアクセサリーに納めて身につけることができます。
ネックレス、ブレスレット、指輪、おしゃれなミニ骨壺などたくさんの種類があり、デザインも豊富です。
通常のアクセサリーと変わらないデザインのものも多く、お値段も2万円くらいから用意されています。

メリットデメリット
・いつでも故人の近くにいることができる・残りの遺骨の供養は別に考えないといけない

散骨(海洋散骨・山散骨・宇宙散骨など)

遺骨を粉骨して海や山、宇宙に撒く方法です。
墓地以外に遺骨を埋めることは法律違反ですが、「撒く」ことに関しては法律に触れません。
粉骨(2mm以下が基準とされている)して撒く場合は、1991年に法務省が「葬送のための祭祀として、節度をもって行われる限り違法性はない」と公式見解を発表しました。

とはいえ、どこにでも撒いていいわけではありません。
他人が所有する土地や山はもちろんダメですし、市町村によっては、散骨自体を条例で禁止しているところもあります。

海洋散骨にかかる費用は、委託して(親族は船に乗らない)散骨する場合は2万円~、親族も船に乗る場合は10万円からあります。

ただ、気を付けていただきたいのが、「使えなくなった家電を安価で引き取ってくれるサービスを利用したら、山へ不法投棄しているだけだった」などにみられる、いわゆる悪徳業者も残念ながら存在するのです。
というのも、散骨に関しては違法ではありませんが合法でもありません。
そのため、運営に国や市町村の許可が必要ないのです。

実は「粉骨もしっかり行わず、すべての遺骨をまとめてこっそりその辺りの近海にまとめて捨てていた」なんてことがないように、業者選びはしっかり行いましょう。

メリットデメリット
・費用が安い
・自然に還ることができる
・賛否が大きく分かれる
・取り扱う業者が少ない
注意点

粉骨しないでそのまま遺骨を撒くと、遺棄罪となります。
また、自分が所有する庭の木の下に粉砕した遺骨を散骨する(撒く)ことは可能ですが、いくら粉砕したとはいえ埋めると法律違反となってしまいます。

お墓を持つということ

お墓を持つには、平均で200万円ほどの金額が必要です。
また、希望の墓地を探すだけで平均3ヶ月ほど、そこから契約、さらに墓石の選択…と膨大な時間がかかります。
さらに、お墓をしまうとなると100万円近く必要なうえに、また膨大な時間と手間がかかるのです。

お墓を持つにしろ、持たないにしろ、今は選択肢が増えています。
残される家族のためにも、自分の希望するお墓を伝えて、資金を用意しておかないと、遺族間でのトラブルにもなりえます。

自分が眠る場所は、自分で決めておきましょう。