インタビューVol.48「震災の被害でお墓の管理費用まで捻出できない」

震災の被害でお墓の管理費用まで捻出できない

ライフエンディンサポートへお寄せいただいた供養にまつわるエピソードをご紹介いたします。

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風花さん 50代

我が家にはお墓が2基あります。一家のお墓と私の母だけのお墓です。
個人のお墓というと、その個人をよほど大切に思ってのものというイメージを持つのが普通ですが、我が家では事情が異なります。
母が一家の持て余し者だったため、我が家のお墓に入れられず、仕方なく私が建てたものです。

実母が他界する10年以上前にそのお墓は建てました。
今から15年以上前のことで、当時約150万円ほどかかりました。霊園も私が見つけ、家族のお墓と別の所に見つけました。

いったい、家族の墓にも入れないとはどんなことを母がしたのかというと、いわゆる犯罪行為はしていません。
警察沙汰になるようなことを実母がしたわけではありません。ただ、警察に知れたら問題になることは沢山してきました。

一番がいわゆる「間引き」です。私の5歳上になる兄が生まれた直後、自宅での出産だったのを良いことに、母は我が子が生まれた直後に窒息死させた疑いが濃厚です。
証人は私の10歳上の姉だけで、姉も当時10歳の子供でした。姉は父が産婦人科医を呼びに行っていた間、母の出産の手伝いをしたそうです。
元気の良い産声が上がった直後、ピタリと声がしなくなり、その直後に父と医師が自宅に駆け込んできました。

産婦人科医は、乳児の様子を見て、父の方をちらりと窺うように見たそうです。父は、かすかに首を振り、医師もそのまま引き下がりました。
母は「誰々ちゃんが変なことをしたのよ」と姉のせいにしたそうですが、産婦人科医は姉に「よく頑張ったね」と労い、父も姉を褒めたそうです。

結局、何事も表沙汰にはされませんでした。
しかし、我が家の母以外の家族の間で、母が自分の子供を「間引いた」という疑いは、事実という形で定着していきました。
父は、自分が晩年になって入院と退院を繰り返すようになった時、私たち子供に「あいつ(母のこと)は、ウチの墓には入れない」と宣言しました。
すでに実母は認知症を発症しており、離婚もままならない状況でした。そのため、仕方なく、私と姉は実母だけが入るお墓を作ることにしました。まさか放り出すわけにいかないからです。

幸いにして霊園の広告があり、当時、定職についていた私がお墓の代金を払いました。
しかし、その3年後に実母の認知症が悪化して施設からも出されるようになり、在宅介護のために私は退職しました。
お墓にあんなに高額を支払わなければ良かったと後悔しました。

その4年後に熊本地震が起きました。
実母のお墓の状態は見に行っていません。実際に自分たちが住んでいる家が半壊で、その修理や何やかにに約350万円もの出費が必要になったためです。
自分たちに悪いことをして、家族のお墓にも入れられない人のためのお墓が何かあっても、とても修理費用なぞ捻出できません。
薄情と罵る人がいたら、勝手にしたら良いという思いで放置していますが、気持ちの負担になっています。